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Love & Ginger - 物語文章

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【3】

 「すけさん、ほらなにしてんの、学校行くよ。」

 朝も早くから呼び鈴が鳴ったので、朝食代わりの砂糖入りの紅茶を飲んでいた祐は、服装(彼はまだパジャマだった)やら髪型(寝癖全開だった)やらを大いに気に病みながら玄関に出てみた。
 そこには岬がいた。
 祐はびっくりした。

 「おはようございますミサキモリさん。」
 「何その格好。」

 「出来心です。」

 「登校、ご一緒します、ほんの少しだけ待っていてくださいね。」

 「『玄関先でレディを待たせる』。減点30と。」

 岬のセリフを背中で受けながら、祐は家に入ると急いで服を制服に着替え、洗面所で頭から水をかぶってざざっとタオルで拭き寝癖を直すとカバンを背負って玄関に再び飛び出した。

 「お待たせしました。行きましょうお嬢さん。」

 「男子って身支度がすぐ済んで楽だよね。」


 「ひょっとしてボクはこれからも毎日ミサキモリサンの登校にご同行してもいいんですか?」
 「お嫌かしら?」
 「愚問です。」

 今日も彼らは並んで歩いた。ホイールを操る岬の腕はリズミカルに繰り出されていた。

 「女子にもお友達出来ましたか?」
 「うん。すぐにクラスに溶け込めそうだよ。」
 「それは良かった。」

 「クラスの女子に誰かお目当ての娘でもいるなら、とりついであげるわよ。」

 「…。」

 「何で黙るのよ。」
 「黙秘権です。」

 「あ、ひょっとして。」
 「その通り。さすが。」

 「まだ何も言ってないけれど。」
 「あれ。」

 岬はふと祐のほうを見上げてみた。
 彼の表情の変化を観察しようという算段だったのだけれども、岬は彼の首筋に新しい傷を見つけたのでそっちに注意が行ってしまった。前後に伸びた、引っ掻いたような傷だった。

 「どしたの? その首の傷。」
 「特訓で付いたんです。」

 「サイヤ人が来る前に界王拳をマスターしないといけないんです。」

 「元気玉も?」
 「元気玉は無理。」

 「ココロがヨコシマですからね。」

 「…あなたは。」
 「私の話!?」


 ふたりは住々神社前までやってきた。学校に行くには坂のきつい大通りか坂の緩やかな迂回路かを選ばなくてはならない。

 「どっちの道で行くんですか?」
 「昨日の行きと同じ道。」

 「坂、傾斜がきついですけれど大丈夫ですか?」
 「平気よ。」

 「すけさんが押してくれるもん。」


 「車椅子、押してもいいんですか、ミサキモリ殿。」

 「うん。」

 「押していいよ。」


 「でわ僭越ながら押させていただきます。」
 「初めてだからやさしくしてね。」

 「昨日も押しましたが。」
 「マジレスかよ!」

 「申し訳ない。」
 「許します。」


 岬の車椅子は祐に押されて坂の上の学校にたどり着いた。



 登下校の道のり、祐が岬の車椅子を押して通学するのがふたりの習慣になっていった。

 彼らは気が合ったし、お互い気の置けない間柄になった。

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